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土曜日, 12月 13, 2008

歯周病の恐怖

東京の千駄ヶ谷にある津田ホールで、
「なくそう 減らそう 歯周病 シンポジウム」
というセミナーがあったので、参加してみた。
共催 社団法人 日本歯科医師会、毎日新聞社
後援 厚生労働省、健康保組合連合会、社団法人日本医師会、日本歯科医学会、特定非営利活動法人日本歯周病学会、社団法人日本糖尿病協会、二本糖尿病対策推進会議、財団法人8020推進財団

以下その概要だ。


【歯周病】
昔はシソーノーローと呼ばれていた歯の病気だが、いまでは、歯周病と呼ばれる。
「歯肉炎」という継承段階と「歯周炎」と病状が進んだ段階の2段階がある。
原因はプラークと呼ばれる細菌のかたまり。食後の口の中に残った食べ物の残骸を餌に、細菌が繁殖する。古くなって堆積したものが歯石だ。
「歯肉炎」の主な症状は、歯茎の歯と歯の間の三角形の身の部分が赤くはれる症状だ。これは、プラークのせいで、身の部分が炎症を起こしている。治療方法は、丁寧のその部分を歯ブラシでブラッシングする。一時的に出血するが、炎症の原因となっていたプラークも除去される。できれば、この段階で歯医者に行って適切な処置を行うのが好ましい。
「歯周炎」はより進んだ段階だが、歯茎の炎症が進んで歯からはがれて、歯周ポケットができその中に細菌が入り込んで体に影響を与える状態だ。歯周ポケットの深さが2mmまでは歯肉炎の範囲で、先に述べたブラッシングで多くは解決する。だが、それ以上に進むと、時に6mmを超えることもある。この深さは歯を支える骨がとけた長さを意味すると考えてよい。
歯を支える骨を溶かすメカニズムは以下の通りだ。

 →プラークのせいで歯肉が炎症し、歯と歯茎の間に隙間ができる。
 →その隙間にプラークが入り込む。
 →隙間に入り込むと歯ブラシで除去できなくなる。
 →プラークが隙間に住み着く。
 →プラークを、体の方は異物ととらえ、サイトカインなどの酵素を出して細菌と戦う。
 →その量が過剰になると逆に体を攻撃しだすこととなり、骨を溶かし始める。
 →プラークが住み着いた状態ではこの過剰の状態がおこる。

ここで注意したいのは、歯肉炎のように空気に触れる歯茎で活動するプラークと、空気に触れない歯と歯茎の間に入り込んだプラークとでは性質が異なる点だ。後者は嫌気性の細菌で、硫化水素などの口臭の原因となる物質を生成する。また、先の体の免疫との戦いにより膿が発生し、そのために匂いも発生する。
これらの過程で、骨が溶かされていき、最終的には、歯が土台を失ってぐらぐらとなる。ここまでくると手遅れだ。
歯周病は遺伝性もあると考える人もいる。

現在の医学で回復可能なレベルは、歯肉炎まで。歯周炎までくるとよほど軽微でないと回復できない。そして、多くの場合歯周病を認識するのは、歯がぐらつくという歯周炎の進行した手遅れの状態である。

【歯周病と糖尿病】
歯周病が厄介な点は、細菌によるものだということだ。
このセミナーでもっとも衝撃的な話題の一つに、歯周病と糖尿病の関係を様々なエビデンスで関連付けた点だ。合併症だ。以下の二つの事実を受け入れる必要がありそうだ。

糖尿病は歯周病を併発する恐れが高い。
歯周病は糖尿病を引き起こす恐れが高い。

糖尿病の原因に、しばしば、メタボリックシンドロームが取り上げられるが、実はその原因としての割合は4割程度だ。遺伝など別の原因によるものもあるわけだが、メタボでなくても歯周病が原因で糖尿病になる恐れがあるようだ。

専門的な話も出ていたがここでは割愛。腎機能、肝機能、頸動脈などにでる症状や物質などからその関連性を説明していた。


【糖尿病】
糖尿病の方に視点を変えてみる。
糖尿病は血糖値が一定値以上に高い状態になると一生のおつきあいとなる。治療、食事制限など、一度なってしまうとつらい病気だ。
日本を含むアジア人に多い。
仮説の域をでないが、肉食の西洋人と農耕民族のアジア人の違いで説明する人もいる。肉食はインスリンを多量に必要とするため、もともとインスリン分泌が多い。だが、農耕民族はそれだけのインスリンを必要としてこなかった。それが、この50年の肉食を中心とした食生活に変わったことにより、体に対する負荷が大きくなった。
糖尿病は、脳、肝臓、腎臓、足先までわたる全身病だが、歯周病とおおきな関係があることがわかった。
なお、糖尿病側からの生活習慣に対するアドバイスとして以下のものが挙げられている。

 →腹八分。
 →良く噛む。代謝がよくなり、糖もすぐ燃え、体に蓄積したり、分解するための負荷をかけない。
 →運動をする。(薬5種類分くらいの効果はある)
 →古い日本の食事。
 →飽和脂肪酸(肉食)は週2-3回程度。サラダオイルはほどほど。オリーブオイル、魚はOK。
 →ストレスをためない。笑い、喜び、感動する。
 →おいしく食べる。うまみの利用。古き和食。

【予防・措置】
  • 歯の出血が起こったら、そこを集中的に磨く。できればこの時点で歯医者に。
  • 歯肉の状態はピンク色でスティップリング(表面のぶつぶつ)がある状態。赤くはれてきたら歯肉炎。
  • 集中的な歯ブラシと歯医者さん。
  • 夜は30分くらいブラッシング。歯磨きをつけなければ、身がいたものを飲み込んでもいい。
  • 歯ブラシでのブラッシングは、歯の表面を磨いて虫歯予防とプラーク落とし、そして、歯茎を磨いて歯周病対策。
  • 食べたら3分以内に磨く。
  • 歯にくっつきやすいものは×。
  • 肥満と歯周病は関係がある。
  • 肥満と糖尿病も関係あるが、4割程度だ。
  • 糖尿病と歯周病に関係がる
  • メタボリックシンドロームは、歯周病の原因。
  • 運動の効果はたかい。
  • 食いしばる→歯には悪い。
  • 歯周病において薬は補完的役割。治ることはない。
  • 骨が解けるとだめ。現在の再生技術はまだ中途。いずれ、かなり復元できるかもしれない。
  • 食生活においては、食物繊維が良いという。自然環境下の猿は歯周病はないが、とらえて、団子などの柔らかいものばかり食べさせると歯周病となるという。

【日本人の現状】
日本人には多い。だが、昭和62年以降は減少傾向。
国民の8割が感染。
ティーンエージャーでも4割と増加傾向。